今回で4回目になる世界きき酒師コンクール。
特定非営利活動法人FBO(以下NPO法人FBO)と提携加盟団体である日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(以下SSI)が行うもので、同協会発足25周年記念事業の一環として一段と華やかに開催された。
2014年6月から行われた、国内、海外(米国3エリア、台湾、韓国)における代表選考会を勝ち進んだ選手25名が、9月19日20日準決勝そして決勝大会へと進み、日本酒きき酒師焼酎きき酒師3万人の頂点となる。
私はSSI協会発足前の準備室のころからお手伝いをさせていただいている。あれから25年・・・。本当に早いものだ。今回は前回に引き続き審査委員をやらせていただいた。準決勝(9月19日)、決勝(20日)の様子を画像でリポートしよう。
まずは準決勝。決勝共に会場はホテルメトロポリタン エドモント。
早朝から集合。説明会。
まずは、 サービス実技。カップルの仮想客に適切なお酒をお勧めし、質問に答える。
メディアからの取材も入り、会場は緊迫ムード。
外国人選手には通訳が付く。審査もむずかしい。
質問に答えながらも、スムーズなサービスができることも重要。
この日の夜には記念事業の一つとして「吉田類さんと味わう伝統野菜と日本酒の会」が催された。
居酒屋放浪記のBGMとともに登場で盛り上がる!
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台本は無し。緩い感じがいいのだ。 |
会場には全国からの地酒と郷土料理が饗された。福井からは花垣。
上庄の里芋や吉川の茄子などが並ぶ。
そして類さんとパチリ。花垣、美味しい~と一言。
おつまみ料理もゴージャスだ。
類さんはこの日はテーブルを「放浪記」。で、みんなでパチリ。
珍しいお酒もたくさん出された。
翌20日。決勝の日。
午前中は、論文の発表から。
本日あらためての説明会。緊張感。
論文発表は各自好きなスタイルで。紙での見せ方もあるしパワポもある。大分から出場の安東 千絵さんは、おもしろいマトリックスを作ってくれたので楽しめる発表だった。
東京の新倉望実さんは紙芝居!子供や若者へのプレゼンで使える手法だ。
最終決戦に残った10名。
北海道函館からの緋田和美さんは名誉きき酒師としても広く活躍している。日々の研鑽が見事に表現され、公開審査のブラインドテイスティングのコメントには会場もため息。頼れる女将なのだ。
兵庫県からの田部敦史さんは、老舗料亭旅館勤務。水の大切さを酒のおいしさに結びつける。情熱的なサービスがとても好感が持てる。
ニューヨークからジェイミー・グレイヴスさん。日本が堪能なサービスマン(やっぱり日本語が話せた方が有利)。スマートで温かみがあるサービスがひときわ目を引いた。
東京から 北原康行さん。準決勝とは違いソムリエスーツでパリッとカッコいい。やはりこういった人に日本酒をサービスしてもらいたいと思う。お勧めの仕方も抜群に良かった。
異色はこの方。 東京からの中條一夫さん。外務省勤務。ロボットのような動きに正確な説明が笑いを取る。こういう人たちの日本酒PRが大切なのだ。
台湾から黄式賢さん。とにかく笑顔が素敵。通訳が入り少しスムーズさがかけて残念だったけど、AKBなんかもトークに混ぜてとてもクレバーなサービスマンだ。
酒販卸でドイツ勤務の沼田広志さん。SSIとのかかわりが長い。サービス現場での仕事ではないが、この決勝を含め、すべてに高得点を獲得。こんな営業マンと付き合いたいという酒販店・飲食店も多い。
愛知県から 山本将守さん。酒販ビジネス。決勝のサービスもそつがない。きき酒師のキャリアも長く、午前中の論文発表は男性審査委員に好評だった。
韓国から申知恩さん。彼女にはNHKWORLDテレビ取材班が密着取材を行っている。二日間びっちりマーク。それでも緊張することなく(していたかな)、着実に出題をクリアしていく。日本語ができたらたぶんもっと高得点!
東京在住のろしあ人、ブーラフ・ドミトリーさん。見た目はもう完全にロシア人だけど、日本語がぺらぺらなうえに「精進します」とか『三位一体」とか難しい言葉を操る日本酒マニア。着物に超ネクタイがナイスだ!
優勝は北原康行さん。東京汐留のコンラッド東京勤務のソムリだ。準決勝から見ているが、文句のつけようのない結果だった。
第3回のコンクールもマンダリンオリエンタルホテルの女性きき酒師だった。どちらも外資系ホテル。どちらも審査に関わっているものとして書き残しておくが、本当にこれは偶然。しかし、やはりインターナショナルな環境で働いているソムリエやきき酒師はオールラウンドで日本酒サービスの試験をするとなると力を発揮するのだ。
2位は沼田広志さん(日本酒類販売勤務)、3位はブーラフ・ドミトリーさん(日本酒飲食店・日本酒PR会社勤務)。沼田さんは1いい狙いだったので悔しそうだけど、「北原さんのサービスを見て負けたと思った」と苦笑い。だけど、沼田さんの知識と情熱は素晴らしい。日酒販さん、これほどの営業マンは会社の宝ですね。ブーラフさんはロシアをはじめ世界で日本酒PRをしてほしい。これからご活躍祈っています。
そのほか、特別賞に、ジェイミー・グレイヴスさん、申知恩さん、中條一夫さんの3名が。
もちろん、実力があるにもかかわらず入賞ならずの方々もある。くやしさや複雑な思いもわかります。よくわかります。私も同じ経験があるから。だけど見ている人は見ています。わかる人はわかっています。この経験は必ず次に結びつきます。引き続き、このキャリアをもとに活躍をしてください。
選手の皆さまお疲れ様でした、また、入賞の方々はおめでとうございます。
いつも賛否両論のきき酒師コンクール、今回は比較的スムーズに、そして感動的に終わったと思います。関係者の方々もお疲れ様でした。
日本酒の魅力が国内外に広く伝わりますように。
日本酒に乾杯。
<追記>
「NHK WORLD ASIA FORCAST」にてコンクールの様子や韓国での日本酒市場について、放送(9月29日)されました。