昔から「きっと合う」「絶対合う」と思っていた組み合わせが、日本酒の古酒と中国料理。今回、やっとこの組み合わせを本格的に体験できる機会を設けることができた。
高知の名酒「司牡丹」の古酒と、西太后が愛した究極の宮廷家菜料理「厲家菜」のコラボレーションだ。
きっかけは、我が家の冷蔵庫で14年ほど寝かされていた「司牡丹 永田農法 純米吟醸 佐川」と「同 窪川」の2本。いつか飲みたいと思いながらタイミングを逸し熟成を重ねてきた。
さらに、長年の友人、西麻布でワインバーを運営している美人ママ下山節子さんも大切に寝かしている「司牡丹 秘蔵大古酒 源十」があるとおっしゃる。なんと22年物。ならばその3本を主に、司牡丹酒造竹村社長もおよびして、新旧司牡丹の飲み比べをやろうと発案したのだ。
さらに、どうせなら、美味しい中国料理を合わせたい。長年の夢がこれでかなう。
しかし、日本酒の古酒は繊細。とくに司牡丹は、社長のイケイケ大胆な性格とは別に酒はかなり繊細。あまり濃厚で派手な中国料理ではあわない。
・・・と、思いついたのが「厲家菜」。化学的なものは一切使わず、時の権力者西太后の健康長寿と美容を考えて作られた究極の薬膳宮廷家庭料理である。これならばきっと、繊細な日本酒古酒ともすばらしい相性を体験できるはず想像したのだ。
厲家菜、司牡丹酒造、下山様のの絶大なるご協力のもと、2013年8月4日(日)18時、厳かに会はスタートした。この素晴らしき饗宴、なんとしてもリポートとして残しておかねば…。日本酒業界、中国料理業界のみなさま、そしておいしいもの大好き!という方々、ぜひとも、ご参考になさってくださいませ。
場所は六本木ヒルズ。重厚なエントランス。いやがおうにも期待が高まる。
正面に飾られているのは西太后の着衣(レプリカ)。黄色、赤、黄金は皇帝のみが使うことのできるの色。また、刺繍の龍の爪は5本。これまた最高権力者の証だとか。
本日のメニュー。西太后の「アンチエイジング」をつかさどった健康長寿料理が並ぶ。前菜20品、主菜3品、スープにデザートの豪華絢爛なラインナップだ。
料理内容を一挙にあげてみよう。
<前菜>
特別な豆腐料理 麻豆腐
中国の精進料理
蓮根の挟み揚げ
鱈の揚げ物 スパイス醤油ソース
牛フィレ肉の揚げ物 香味ソースがけ
セロリと海老子の酢和え
茄子と大豆の和え物
海老の錦糸玉子揚げ
豚団子の飴細工
香鶏の蒸し物 葱と山椒ソース
鴨肉と海老のすり身の揚げ物
白菜の漬物と鶏肉の炒め
いんげんの山椒油和え
白菜の芥子漬け
翡翠豆腐
海老の茶巾包み
鹿肉・筍・干し椎茸の山椒風味和え
豌豆餅の揚げ物
北京風豚バラ肉の燻製
骨付き豚肉の甘酢味
<主菜>
鱈の蒸し物豆鼓ソース
秘伝豚肉と白菜、魚の浮き袋の煮込み
魚沼産コシヒカリ
<スープ>
宮廷風スープ
<デザート>
三不粘
≪ウエルカムドリンク≫
1「山柚子搾り ゆずの酒」ソーダ割り シャンパングラスで
≪お食事の前半に≫
2「司牡丹 生鮮酒<夏>零下貯蔵生酒 純米生酒」 (平成24酒造年度)
3「山廃純米 かまわぬ」<Sake Competition 2013入賞銘柄>(平成23酒造年度)
4「永田農法高知県産山田錦 純米吟醸酒 司牡丹」(平成24酒造年度)
5「永田農法
佐川 山田錦 純米吟醸酒 司牡丹」(平成10酒造年度)
6「永田農法 窪川 山田錦 純米吟醸酒 司牡丹」(平成10酒造年度)
7「秘蔵大古酒 純米大吟醸原酒 源十」(平成3酒造年度)
8「秘蔵大古酒 純米大吟醸原酒 源十」(平成9酒造年度)
<名物デザート「三不粘」と>
9「司牡丹封印酒 純米吟醸酒」
<食後酒>
10「柚子の大バカ十八年」リキュールグラスで
ごあいさつの後、古酒の説明、楽しみ方をご説明。続いて、司牡丹の蔵のお話、お酒のお話を竹村社長から。さらに、厲家菜の歴史と料理説明を同店支配人椛田氏より。椛田氏の説明があることによって、料理一品一品のストーリーと意味がわかる。
山柚子の酒でお出迎え。最初は夏らしい涼やかな酒、ややコクのある人気酒「かまわぬ」を。水と氷は司牡丹の仕込み水。氷もここで作っていただいた。素敵♪ 感謝♪ 前菜最初の10品は、軽快で優しい味わいのものを。後半は、古酒に合わせて比較的濃い味わいを出していただく。
注目の「佐川」と「窪川」の味わい。14年ほどたっているのに、なんのなんの、力強い、力強い。米の酒らしい骨格がしっかりと感じられ飲み応え十分。骨付きの肉の燻製や鹿肉の山椒和えと、感動的に合う合う。驚き。素晴らしい。この古酒の力強さは「永田農法」からくるものだとか。なるほど。
主菜の鱈の蒸し物。西太后に出されたのは違う魚だったらしいが、それに最も近いのが鱈なのだとか。古酒には疑いようもなくぴったり。
今回さらに感動したお皿がこれ。豚肉と白菜と魚の浮き袋。淡い上湯に深い旨味がある。唇がんまっんまっとくっつくぐらいのコラーゲン。西太后がいつまでも若々しかったのはこのコラーゲンのおかげだったのか・・・・。そして、「源十」の22年物と14年物。やわらかい。深い。滑らか。しかしコク。これは好きだ、大好きだ。熟成したピノ・ノワールのようだ。料理のと相性もすばらしい。
中国料理には欠かせないスープ。胃にやさしく広がる味わい。乾物食材ならではの風味。
待ってました! スペシャルデザートの「三不粘(サンプーツァン)」。 幻の中華デザートといわれている逸品で、「3つのもの(箸・皿・歯)にくっつかない」という意味。作り方もかなりの技がいる。卵黄・砂糖・とうもろこしの粉をあわせた生地を、油を引いた鍋で10~15分練り上げ、その後なんと600回混ぜつづけてやっと出来上がる逸品なのだ。
これには、司牡丹のやや甘めの封印酒を。牡丹の柄が中国っぽく見える。
サンプーツァンの原型。つぅるんとしていてきれいでかわいい♪
さて古酒と中国料理。
やはりここまで繊細で深い味わいの中国料理には、中国酒ではなく日本酒の古酒だと思う。両方の良さが、きれいに抽出され、第三の味わいが生まれる、まさにマリアージュ。とくに、ここ厲家菜のように少量づつ多皿で提供されるスタイルは日本酒を楽しむにぴったりのようだ。
これで中国料理にも日本酒古酒をおすすめることができることが十分にわかった。まだまだ、組み合わせのバリエーションが考えられるはず。日本酒古酒と中国料理の未来はかなり面白いものになりそうだ。
日本酒古酒と中国料理の会、これからさまざまに開催します。
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