ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所でブレンド体験をした。
初めてのブレンド体験は、かなり前になるが、サントリー山崎蒸溜所にてだった。
初めてのブレンド体験は、かなり前になるが、サントリー山崎蒸溜所にてだった。
テーマは、「目の前に並ぶ数種(何種類か忘れた)のモルト原酒をブレンドして、“響”と同じ香味を作りなさい」というもの。まずは同社最高峰のブレンデッドウイスキー“響”の香りと味をみて自分なりに分析し、モルト原酒のサンプルを自分流にブレンドするのだ。
おもしろかったなぁ。
難しかった。
いや、難しすぎた。
たしか、ピート香の強い原酒を入れ過ぎて、エレガントさにかけたものができちゃったと記憶する。
今回はそこんところを気を付けて…と。
「宮城峡蒸溜所 マイブレンド教室」。蒸溜所見学後に体験させていただいた。
先生は(株)仙台ニッカサービス営業部長岡島君夫さん。宮城峡蒸溜所の生き字引でもある。先生の指示に従い始める。
まずは、5種の原酒サンプルの個性を把握する。
F「フルーティ&リッチ」(宮城峡モルト)
・・・フルーツのように華やかでバランスがよく後味に苦味。
・・・フルーツのように華やかでバランスがよく後味に苦味。
S「シェリー&スィート」(余市モルト)
・・・チョコレートのように甘く香ばしい、アフターはスッキリ。
・・・チョコレートのように甘く香ばしい、アフターはスッキリ。
P「ピーティ&ソルティ」(余市モルト)
・・・ヨード香。味は意外におとなしい。ドライで骨太。
・・・ヨード香。味は意外におとなしい。ドライで骨太。
M「モルティ&ソフト」(宮城峡モルト)
・・・爽やか、酸っぱい。ドライで意外に骨太、コク。
・・・爽やか、酸っぱい。ドライで意外に骨太、コク。
G「ウッディ&メロウ」(比較的癖のない連続式蒸留したカフェグレーン@宮城峡)
・・・マイルドで甘い香り。優しい味わい。
続いて、標準のブレンディングを体験する。
たとえば「スタンダード その1」の比率は、
F 2.0
S 0.5
P 0.5
M 1.0
G 6.0
これは華やかな香味。
「スタンダード その2」は、
F 1.0
S 0.5
P 0.5
M 2.0
G 6.0
これは穏やか。
「リッチ」は、
F 3.0
S 1.0
P 2.0
M 1.0
G 3.0
M 1.0
G 3.0
これはピート香、ヨード香が強く、個性的。
「ライト」は、
F 1.5
S 0.5
P 0
M 1.0
G 7.0
軽快で最も癖がない。
微妙だけどブレンド後はかなり違っておもしろい。
こうしてそれぞれの個性を見ると、「カフェグレーン」が思いのほかしっかりとした香りと味があり美味しいことに驚く。「カフェ
グレーン」は、連続式蒸留器で蒸留するグレーンウイスキー。「カフェ式」(カフェとはこの蒸留機を発明した人の名前)で造られるグレーンは、単なる癖のな
いピュアアルコールではない。いわば古い形式の連続式蒸留機ゆえに原料の個性が適度に残るのだ。それが微妙な深みや奥行きを醸し出してくれる。これはニッ
カウヰスキーにしかない蒸留機だ。つまり、ニッカウヰスキーはグレーン割合の多い比較的お手頃な商品も原料風味の生きた味わいを持つといえるのだ。
さて、友田ブレンドはどうしたか。
比率を変えながら4種の試作後に決めたのはコレだ。
F 2.0
S 3.0
P 0.5
M 1.0
G 3.5
ポイントは「シェリー&スィート」の割合を高くし、甘く香ばしい風味にしたこと。ピート香はほんの隠し味程度。これはサントリー響作りの時に学んだ。
フルーティさと滑らかさとエレガントさを兼ね合わせたブレンド割合とした(つもり)。集中してやっとります!
自分流のブレンド割合で200ml瓶に詰めたら、今度はオリジナルの名前をつける。
私は、瓶のギリギリ一杯まで、さらにはグラスのギリギリ一杯まで注いで飲みたいから、「つるつるいっぱい」とした。これは福井の方言で「液体を表面張力するまで器にめいっぱい注いだ状態」をさす。「つるつる」はニッカウヰスキー創始者竹鶴政孝にちなみ「鶴々」とした。
この日ブレンド体験したのは7名。
きっとそれぞれにかなり香味が違うはず。味比べが楽しみだ。
こういう体験をするたびに、ウイスキーのブレンダーの仕事がいかに繊細かつ大胆で集中力がいる奥の深いものかということを実感する。そして、作品となった市販のウイスキーを感動と感謝をもって楽しめるようになる。
この日の参加者全員の「作品」。近いうち飲み比べ会をする! 楽しみだ。
この宮城峡蒸溜所のマイブレンド体験、ただ今大人気につき受け入れ態勢が間に合わずお休み中。次回の開催まで少々お待ちくださいね。