しかし、自分の地元の伝統料理や旬の食材の魅力を上手に伝えられる人は、意外に少ない。さらには、地元で長く愛される「酒」のことを知る機会はもっと少ないし、それを上手にお客様にお勧めできる人は、残念ながらほとんどいない。
これは実にもったいない。
その土地を訪れる観光客は、その土地のおいしい食と魅力的なお酒を「教えてもらいたい」「体験したい」と思っているもの。お宿や飲食店などお客様をお迎えする立場ならば、このお客様の要望にしっかり応えなければいけない。 その体制を整えることが、お客様を呼ぶもっとも近道でもあるのだ。
そこに気が付き、立ち上がったのは熊本県球磨地方の人吉温泉。女将会「さくら会」が、地元で愛される焼酎『球磨焼酎』の基礎知識とおいしい飲み方、さらに、郷土料理との相性を、基礎から勉強を始めた。
球磨焼酎大使に任命いただいているワタクシ友田がお手伝いをさせていただいた。
会場は、ひとよし旅館。皆様お忙しい中時間を割いての参加。女将のほかに料理長や飲食店関係者も。挨拶は、球磨地方振興協議会会長の下田様(大和井一酒造社長)。「今まで、焼酎はどの料理にも合う酒と言ってきたがそれではあまりに漠然としており、焼酎の魅力が伝えきれていたなかった」と会長。この機会に、もっと細かくて的確で、わくわくするような組み合わせの提案ができるようになりたい…と、日頃の感謝と愛ある激励が飛ぶ。
そして、今回は「日本料飲ビジネス研究会」の友田としてお話をする。まずは、「お宿・飲食店さまになぜ飲料の勉強が必要なのか」をお話しし、続いて、「焼酎販売の現状と問題点」を資料とともに詳しく説明する。
講義中には、参加の方々にも声を出していただく。質問内容は「あなたの地元の魅力は何ですか?」だ。簡単なようでいて、実は上手に答えられないのがこの質問。
ちなみに、あなたはどのように答えますか? 「おいしい水、おいしい魚、おいしい野菜、おいしい米、おいしい空気が自慢」ですか? これでは○ではありません。だって、おいしい水に魚に野菜に米に空気は、どこだってあるのです。新潟にも北海道にも、長野にも熊本にも・・・。あなたの郷土だけにしかない、ほかにはない、極めつけの魅力を言えないとだめなのです。難しい。けれど、表現の仕方、見る角度、季節、などによって、いか様にでもいえる。その練習が必要なのです。
講義のあとは「販売に結び付くテイスティング」。球磨焼酎をはじめとした焼酎は、味わいの違いを見極めるのが素人には難しいもの。ポイントは、飲み方の提案だ。今回は、4タイプ別分類の「フレーヴァータイプ」をオンザロックで。「ライトタイプ」をソーダ割りレモン添えで。リッチタイプをオンザロック、さらにおすすめの「お燗ザロック」、さらにもうひとつ球磨地方ならではの飲み方「ストレートの直燗」で体験。また、「キャラクタータイプ」を水割り、ストレートで。・・・と各タイプごとに、料理に合わせ、さまざまな飲み方を体験する。
続いて、郷土料理との相性を体験する。組み合わせは以下だ。
1、 朝どれ 球磨の新鮮野菜サラダ ゆずドレッシング
目的は、野菜サラダと焼酎の相性を体験いただくこと。ポイントは「ゆずドレッシング」。ゆずのフルーティーさとフレーヴァータイプの華やかさを同調させる。
①フレーヴァータイプ オンザロック
2、 希少価値! 球磨川の鮎 塩焼き
鮎は人吉の定番料理。最も重要な組み合わせ体験。基本的な塩焼きと焼酎の相性を検証。焼酎は伝統タイプで、飲みやすいロックとお勧めのお燗ザロック。
②リッチタイプ オンザロック/③リッチタイプ お燗・ザ・ロック
3、 旬のきのこの健康てんぷら(きくらげ、ほか)
きくらげをはじめ、山郷球磨の食材といえばきのこ。名産のきくらげを主体としたてんぷらと焼酎の相性。クリスピーな添付他の食感と炭酸割りの爽快さを同調させる。
④ライトタイプ ソータ割り+レモン
4、 球磨牛(黒毛和牛)の陶板焼き(洋風タレ・ポン酢)
メインとなる肉料理と焼酎の相性検証。タレは洋風とポン酢で比較。ストレートの強い味わい、もしくはウイスキー的な楽しみ方ができる水割りを合わせる。肉の余計な脂分を洗い流してくれるストレートがお勧め。
⑤リッチタイプ 直燗ストレートお燗
⑥キャラクタータイプ オンザロック/水割り
5、 究極のマリアージュ AOCカマンベール
ナチュラルチーズと球磨焼酎の相性の良さを体験。白カビチーズと麹を使った焼酎の説得力ある組み合わせを体験。
⑦リッチタイプ お湯割り
6、 球磨栗のクレープ包み&チョコレート添え
デザートと焼酎がおいしい組み合わせであることを体験。デザートのタイミングでも「もう1杯売ることができる」ことを実感していただく。チョコレートは「チョコレートソース」が理想。いわゆるマリアージュを体験する。おしゃれな組み合わせ。
⑧キャラクタータイプ ストレート
球磨地方の定番郷土料理とそれぞれに合うお酒のポイント、おいしいポイントを説明しながら体験する。重要なことは、この体験を自分の言葉でお客様に伝えられるようになることにある。難しい説明はいらない。この料理にはこのお酒だと。こういう理由でおいしくなりますという一言を言えればお客様は納得するのだ。また、さらなるもう一杯を注文してくれるのだ。
今回の体験で分かったのは、個性ある球磨の郷土料理と意外に味わいの幅が広い球磨焼酎の組み合わせは、驚きの発見があり、本当に魅力的だ。提供者の方にはそこに新たに気が付いてほしいと思う。そして、球磨地方の魅力を体験に、観光客の方にももっともっと球磨に来てほしいのである。
さて、この「球磨焼酎おもてなし講座」は、2013年、東京と熊本市内で開催する予定。ぜひ、関係者の方々ご参加ください!
これらは翌日掲載された新聞記事。参加者の皆さんの熱意が報道されています!
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